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美味しそうなパン・ド・カンパーニュ_Pain de campagne

2017年10月1日 - フード・ドリンク, 科学

パン・ド・カンパーニュ_Pain de campagne

竈(かまど)でモコモコと膨らみ焼きあがる『パン・ド・カンパーニュ(Pain de campagne)』です。日本では簡単に『カンパーニュ』と呼ばれることが多いパンです。フランスパンの1種で、名前の意味は『田舎パン』です。フランスの田舎で昔から食べられていたパンで、別名『パン・グランメール(おばあちゃんのパン)』です。これらの呼び方は、パリなどの都会の人が故郷を懐かしんで呼んだもので、地方の人たちはただ単にパンと呼んでいたのではないでしょうか?

日本でもこのパン・ド・カンパーニュを作るパン屋さんは多いのですが、残念なのは通常のパン酵母を使う店が多いところ。本来は天然の『ルヴァン種』を使って発酵させます。ちょっと酸味があって噛めば噛むほど味に深みが出てきます。

面白いのは、この発酵の扱い方が日本の漬物とそっくりなところなんです。フランスの田舎の家庭ではパンを毎日発酵させて焼くので、種(粉に水を加え発酵させたもの)は半分その日のパンに使い、半分翌日用に回します。翌日には新しい材料を加え、菌をつないでいきます。毎日毎日、そして家族の代々にこの種が引き継がれ、味が継承されていくのです。日本の漬物を作る『ぬか床』の手法と似ていますね。

ちなみにこのルヴァン種を単一の酵母菌と勘違いしている人もいるのですが、実はいくつかの酵母菌や乳酸菌などの集合体なのです。ライ麦粉や精製されていない小麦粉に水を加えて自然の菌を呼び込み作るのですが、そのレシピ(フランス語でカッコよく言うとルセット)は作る人それぞれみんな違うそうです。当然、地方ごとの気候の違いや家庭ごとに環境が違うので、微妙な味の違いがそれこそ何千、何万種類も生まれます。ルヴァン種の奥、というか奥義はどれだけ深いのか見当もつきません。

パン屋さんは誰でも作ることができるパンを一味も二味も高いランクに引き上げてそれをキープして量産するのは大変でしょう。考えてみれば、美味しいパン屋さんというのはルヴァン種を上手に発酵させて作っているわけで、ある意味優れた醸造業者でもあるとも言えますね。