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指が柔らかな肉体に深く食い込んでいるけど石

2018年8月16日 - サプライズ, 感動, , ラヴ, アート

プロセルピナの略奪

バロック芸術の巨匠「ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598年 – 1680年)」の超有名な彫刻作品「プロセルピナの略奪(1622)」です。指が太ももに深く食い込んでいる様は、どう見ても現代の美女の肉体を一流のカメラマンが撮影した写真のようです。

何が凄いって、まずですね、数百年の時を超えて誰もがセクシーと感じる -すなわち人類の根源的な感性に訴える完璧な3次元バランスの- 肉体を構想というか作品のゴールにイマジネーションしているのが凄い。時代によって、文化によって、“美”の基準は千差万別です。それらを超越して、見た者が生唾をゴクリと飲みそうなほどの強烈な“美”をベルニーニは再現しています。

次に凄いのは題材の2人の躍動感あふれる動きの一瞬をとらえているところ。モデルに静止してもらい様々な角度から長時間観察できれば、あるいは一流の彫刻家ならリアルな肉体の再現はできるかもしれませんが、「プロセルピナの略奪」のような動きのあるものは絶対ムリ!現代の高速シャッターのカメラを使っても1方向の画像しかムリ!映画「マトリックス」のようにたくさんのカメラを円周上に並べて撮影し180度の疑似3D映像は作れても彫刻のような立体物の360度完璧3D再現はムリなんです!ベルニーニは断片的な映像の記憶を頭の中で3D構成するしか方法はなかったはずです。これがどれほど凄いことか・・・。

マトリックス

そして最後に凄いのが「プロセルピナの略奪」は素材が硬い大理石だというところ。粘土のように削ったり盛ったりできれば試行錯誤はできるのですが、大理石のように硬いものは一度彫ってしまえば元に戻すことはできません。切ったり削ったりする工程は全て一発勝負なんです。複雑で入り組んだ2人の肉体を躍動感あふれる大胆な構図で、しかも力強い指が柔肌に食い込むような艶めかしいカーブを石に再現する凄さ!凄さ!凄さ!・・・当時たった24歳の青年がそれを成し遂げたのでした。